Q&A

こどもの病気

  • かぜに抗生物質は必要?
  • 基本的に不要です。
    小児のかぜは原因のほとんどがウイルスです。抗生物質はウイルスにはまったく効きません。
    感染症の原因となる病原体には、おもに細菌、ウイルスがありますが、抗生物質は、細菌を殺したり活動を抑え込んだりする薬です。
    それでもかぜのときに抗生物質が出されるのは、発熱初期では細菌感染かどうかの区別がつきにくいこと、元はウイルス感染でも弱った体に細菌が二次的に感染することがあるかもしれないなどの理由からなのですが、だからといって「熱が出たイコール抗生物質」のような処方では、副作用の心配はもちろんですが、耐性菌(抗生物質が効かないタイプの菌)を増やす大きな原因になってしまいます。参考サイト
    また、最近は減ってはきましたが、熱が高いと抗生物質を飲ませないと心配だという親御さんも多く、仕方なく処方している先生もいらっしゃるかもしれません。当院ではなるべくよくご説明し、不要な抗生物質の使用を減らすようにしています。検査等で細菌感染が疑われるときはしっかり使用いたしますのでご安心ください。
    参考サイト

    抗生物質の不要な使用が、腸内細菌をやっつけることによりアレルギー発症に関連しているのではないかと言われています。
    参考サイト

  • 残っていた抗生物質を使用しても良い?
  • 百害あって一利なしです。
    上の質問にも共通しますが、抗生物質は細菌感染症を治療する薬です。
    心配だから前もって飲ませておこうというお気持ちもわからなくはありませんが、1回でも内服してしまうと尿路感染症や溶連菌感染症など、こどもに多い細菌感染症の検査ができない、あるいは信頼性が低下し、その後の治療に迷うことになりますので、オススメできません。

  • インフルエンザについて教えて下さい
  • 毎年流行し、ウイルスにはA、B、およびCの3型があり、A型には表面の蛋白質の違いにより、さらにいくつかの亜型があります。
    【症状】悪寒、咽頭痛、頭痛、筋肉痛などを伴って発熱し、嘔吐、下痢の消化器症状もしばしば見られます。発熱は1〜5日続き、その後一旦下がった熱がぶり返す二峰性発熱がよくみられます。咳や鼻汁などの症状は解熱後に悪化しやすい傾向があります。
    【診断】鼻汁の迅速テストで約1〜10分で判定されますが、発熱して6時間くらい経過しないと正確な診断はできないとされています。
    【治療】近年、タミフルやリレンザ等の抗ウィルス薬が開発され、実際に使用することが可能になりました。ただし、健康なお子さんであればインフルエンザは自然寛解する病気の一つですので、必ずしも必要ではないと考えます。使用の有無については、お子さんの病状や既往歴などを考慮し、ご家族のかたと一緒に決定致します。
    【予防接種】毎年10月〜12月に13才以下は1〜4週間隔(2〜4週間隔が推奨)で2回接種します。
    【登校・登園基準】小学生以上では発症後5日を経過し、かつ解熱後48時間以上、乳幼児では発症後5日を経過し、かつ解熱後72時間以上経過していることが条件です。(発症後5日とは、発熱した日を0日と数えますので、例えば日曜日に発熱した場合は、どんなに早く解熱しても金曜日までは登校できません。)

  • RSウィルス感染症について教えて下さい
  • 冬期の呼吸器感染症の主要原因ウィルスで細気管支炎、喘息様気管支炎、肺炎などを引き起こし、特に月齢の低い乳児では症状が重くなり、入院が必要となる場合があります。
    近年、冬期のみでなく、夏にも多く見られるようになっており、油断できません。
    3歳以上ではほとんどが再感染と考えられており、重症化することはあまりありません。
    主な症状は熱、非常に多い鼻汁、ゼーゼーする呼吸困難で、一般に長引きます。
    特別な治療方法はありませんが、引き起こされる症状が喘息発作に似ているため、喘息のときの内服薬や吸入療法を行います。

    約15分ほどで結果のわかるRSウィルス抗原迅速検査がありますが、1歳以上のお子さんには保険適応がありません。

  • マイコプラズマ感染症(肺炎)について教えて下さい
  • マイコプラズマという細菌とウィルスの中間のような病原体によって発症します。しつこく強い咳や発熱がみられますが、症状のわりにレントゲン写真の所見が強い傾向があります。治療には特殊な抗生物質(一般的にのみづらい味です)を使用しますが、近年、抗生物質の乱用による耐性化がみられるようになり、これまで効果のあった抗生物質(マクロライド系)が効かなくなっています。
    抗生物質の適正使用が必要です。

  • 溶連菌感染症について教えて下さい
  • 急激な発熱、咽頭痛、腹痛、嘔気、発疹などがよく見られる症状で、抗生剤の内服が良く効きます。診断は迅速テストで5〜10分くらいでできますが、検査前に抗生剤を内服していると正確な診断ができません。
    学校や幼稚園は、有効な抗生剤を服用開始後24時間はお休みが必要です。

  • アデノウィルス感染症について教えて下さい
  • 【症状】5〜7日の潜伏期の後、発熱、頭痛、食欲不振、下痢、全身倦怠感、咽頭痛、眼球結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂などがみられ、それらの症状が3〜5日間持続します。インフルエンザと異なり高熱のわりには元気なことが多い様です。通常は夏に多く見られるウィルス性疾患ですが、今年は通年性に陽性の患者さんがみられます。
    咽頭炎と結膜炎、熱を合併すると咽頭結膜熱(プール熱)と呼ばれることがあります。
    【診断】咽頭ぬぐい液を使って約15分で診断可能ですが、インフルエンザ等の迅速診断キットに比較すると感度が低く、陽性でもプラスに出ないことが多いようです。
    【治療】この病気もウィルス性ですので抗生物質は効果がなく対症療法のみです。
    十分な水分摂取を心がけ、自然に治癒するのを待つしかありません。
    高熱が長引くときや他の症状が強い場合は医療機関を受診しましょう。

  • ヘルパンギーナについて教えて下さい
  • 突然の発熱とのどの痛み(水疱形成、のちに破れて潰瘍形成)を主な症状とするウィルス性の疾患です。
    毎年夏に流行があり、いわゆる夏かぜの代表です。
    熱は3日ほどで下がりますが、のどの奥にできた水疱がやぶれ、激しい痛みが起こります。
    このため、不機嫌、食欲不振、哺乳障害を伴い、場合によっては脱水症などを呈することがありますが、ほとんどは軽症にすみます。
    治療は対症療法のみで、特効薬はありません。
    この病気は、主な症状が治ってもウィルスが便から排出されることがあるため、急性期に登園制限をしても流行を防ぐ効果は期待できません。よって、本人の状態が良くなれば登園可能です。

  • 手足口病について教えて下さい
  • 病名にあるように手(手のひらや指、手首、肘)、足(足底、足首、膝、大腿)、口(口内炎)に小さな盛り上がった赤い発疹が出現します。小児ではおしりにも出ることがあり、熱はないことが多いようです。原因はウィルスで、コクサッキーウィルス、エンテロウィルスなどがあります。感染経路は主に咽頭からの飛沫感染ですが、排泄物や発疹(水疱)からも感染します。便中へのウィルスの排出は症状消失後2〜4週間にわたってみられます。よって隔離することは医学的には意味がなく、学校保険法でも出席停止疾患には入っていませんが、保育園や学校によっては登校を制限しているところもあるようです。
    特別な治療法はなく、対症療法のみです。

  • おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)について教えて下さい
  • 毎年春先に流行します。耳の下〜後ろあたりが腫れて、触ると痛がります。病気のはじめに熱が出ることがありますが、長くは続きません。腫れ方には個人差がありますが、1週間くらいは腫れが持続します。予防接種をしていてもかかることはありますが、たいていは軽くすみます。
    同じように耳の下が腫れる病気に反復性耳下腺炎がありますが、こちらはおたふくかぜウィルスではなく、その他のウィルス等が原因で耳下腺が腫れる病気で、一般におたふくかぜより腫れは短期間で2-3日で改善します。両者を区別するには、採血をして抗体価を検査する方法があります。
    おたふくかぜウィルスに効く薬はありませんので、対症療法(痛みや熱に対する解熱鎮痛剤)のみです。
    診断された翌日から5日間出校停止です。

  • みずぼうそう(水痘)について教えて下さい
  • 1年を通じて、少ないながらも持続的に患者さんがいらっしゃいます。潜伏期間は2週間で、病初期には発熱が見られることもあります。全ての発疹がかさぶたになるまで幼稚園や学校はお休みしてください。予防接種をしていてもかかることがありますが、たいてい軽く済みます。
    (予防接種未接種のお子さんや大人の方が患者さんと接触した場合、接触後72時間以内であれば予防接種が有効と言われています。)
    治療には抗ウィルス薬が使われますが、これは、ウィルスが増えるのを抑えるクスリですので、病初期に開始する方が効果的です。

  • 感染性胃腸炎について教えて下さい
  • ウィルス性(ノロウィルスやロタウィルス、アデノウィルスなど)で感染力が強く、家庭内や保育園等で流行しているようです。発熱の有無や嘔吐・下痢の期間や重症度など多種多様な症状を呈しています。オムツなどの排泄物の処理(塩素系漂白剤が有効です。ミルトン、台所用漂白剤の100倍希釈液など)、その後の手洗いを徹底してください。
    嘔吐が強い間(通常半日から1日程度)は少量の水分(スプーン1杯程度)をこまめに(10分おきなど)とるようにすると水分摂取ができます。欲しがるからといってコップやストローで与えると吐いてしまい、摂取した水分以上に胃液等の電解質も失われるため脱水症状が悪化しますのでご注意ください。
    摂取する水分は透き通った飲物(イオン水など)にしましょう。

予防接種

  • 予防接種は副反応も心配だし、病気にかかったほうが強い免疫がつくのでは?
  • 実際にかかると重大な合併症もあり危険です。 もちろん、病気にかかったほうが強い免疫はつくでしょう。しかし、ワクチンの副反応の頻度の100倍から1000倍の確率で不幸な合併症が起こる危険があります。病気にかかることは、いわば、もっとも副反応の強いワクチンということです。

  • 病気があるときの予防接種はどの程度なら受けても大丈夫?
  • ちょっとの鼻水くらいなら大丈夫です。 予防接種は体調が万全の時に受けたいというのは当たり前ですが、予防接種を受ける年齢層のお子さんは、鼻水などの症状が全くない状態はなかなかありませんよね。それに完全に症状がなくなるのを待っていて、予防できる病気にかかってしまっては元も子もありません。 ただし、明らかな発熱があるときは接種を見合わせることになっています。 予防接種のガイドラインでは発熱の定義として37.5℃と明記されているので、接種前にこれ以上の熱があるときは受けられないことになります。 でも、走ってきてすぐに体温を測ったとか、厚着をしていても子どもはすぐに37.5℃くらいになりますので、当院では少し安静にして、涼しくして再度計測し判断するようにしています。 その他、大きな感染症や病気のあとは、ガイドラインを参考に次のような基準で接種できる時期が設定されています。

    病気の種類 接種できる時期
    麻疹(はしか) 治ってから4週間以上
    風疹・おたふくかぜ・水ぼうそう 治ってから2~4週間以上
    突発性発疹・手足口病・りんご病 治ってから1~2週間以上
    高熱のあと(かぜ・胃腸炎など) 治ってから1週間以上
    じんましん じんましんが出なくなってから1週間以上
    ひきつけ(熱性痙攣) 2−3ヶ月後
  • 卵アレルギーがありますが、ワクチンは接種できますか?
  • インフルエンザワクチン以外は接種に問題ありません。
    ほとんどのワクチンには鶏卵成分は入っていませんが、インフルエンザワクチンだけは、製造過程で鶏卵を使用することから、強度の卵アレルギー(RASTスコア5-6)のあるお子さんでは注意が必要な場合もあります。ただし、ワクチンに含まれる鶏卵成分は極めて微量なので、たいていは安全に接種できます。アレルギースコアが極めて高い場合や、厳密に卵除去が必要な場合は、事前に皮膚テストを行うこともあります。

アレルギー

  • 離乳食を開始する前に食物アレルギー検査は必要ですか?
  • 一般的には不要です。
    テレビや雑誌などでお子さんのアレルギーの話題が多く、多くのお母さんたちが不安に思っていらっしゃるようですが、積極的に検査をする必要はありません。
    そもそも食物アレルギーなのかどうかは、その食物を食べて症状がでるかどうかでみるしかありません。血液検査はアレルギー診断の一つの参考にはなりますが、それが全てではなく、血液検査の数値と実際の症状はイコールではありません。アレルゲン(原因物質)ではないのに陽性に出てしまうこともあり、逆に血液検査で陽性でも実際に食べても何の症状もでないこともあります。まだ何も口にしたことのない赤ちゃんの検査をしても、不要な不安が多くなるだけで、不必要な除去のきっかけになり栄養不良の原因にもなります。

  • 離乳食を開始する時期を遅くしたほうが食物アレルギーの予防になりますか?
  • 最近は効果がないことがわかってきました。
    以前はアレルギーになりそうなお子さん(両親が重症アトピー、兄弟に強いアレルギーなど)は離乳食を遅らせたほうが良いと考えられていましたが、最近の研究では必ずしもそうではないことがわかってきました。自己判断で遅らせることはせずご相談ください。

  • 妊娠中や授乳中のお母さんの食事が、子どものアレルギーの原因になることはありますか?
  • 基本的にありません。
    極端に偏った食生活(牛乳ばかり数リットルも毎日飲むなど)をしない限り、心配はありません。無駄な心配をしてストレスをためるほうが問題ですので、バランス良い食事をして、楽しく子育てをしましょう。

  • 実際に離乳食を開始するにあたり注意することを教えて下さい。
  • はじめて口にするものは少量ずつ3日程度は試しましょう。特に卵は十分な加熱を加え、卵黄から始めましょう。

    また、最近の研究では、離乳食開始時に口の周りなどに湿疹があると、その皮膚にはバリア機能がないため、食物が皮膚を介して体内に入り、これをアレルゲンとして感作が成立し、食物アレルギーを発症することがわかってきました。
    離乳食を開始する前には顔や手、特に口の周りなどの湿疹を治しておくことが重要です。